放課後。俺は教室の花瓶の水を入れ替える。
礼士郎「あー、また部活遅刻だな」
今日は花当番の日だからだ。
早く部活に行きたいが、サボることはありえなかった。
礼士郎「これでよし」
花瓶の水を入れ替え、菊の花を綺麗に整える。
そしてある席の上に置く。
礼士郎「……」
目を閉じ手を合わせる。
吹雪「暗くなってきたね」
吹雪「?……流々、何してんの?」
流々「ん?あいつ遅いから、壊れたドローン修理してるの」
吹雪「ドローンって、屋上で破壊した?」
流々「うん。可哀相だから、連れてきちゃった」
吹雪「捨て猫か!動くの?」
流々「うん、多分ね」
茜里「吹雪……少しよいかの?」
吹雪「どうしたの?茜里ちゃん」
茜里「スマホが、動画を写さなくなってしまったのじゃ」
吹雪「どれどれ?」
茜里「からくりが外れたかの?」
吹雪「あー多分、これ速度制限ね」
茜里「速度制限?……病の類か?」
吹雪「動画の見すぎよ。ちょっと控えないとね」
茜里「むう……」
ガラッ
礼士郎「わりい!遅くなった!」
吹雪「遅い!」
流々「次遅れたら、辞めるぞー」
茜里「れいしろー、速度制限を退治してくれぬか!」
礼士郎「もう騒がしいな!今日は花当番って昨日言ったじゃねえか」
吹雪「あ、そうだったね。ご苦労様」
礼士郎「こんなんで、今夜大丈夫か?
次は七不思議の1体と接触する予定なんだぞ」
茜里「む、そうなのか?どの敵と相対すると?」
礼士郎「前から言ってたろ!」
流々「とりあえず”水底のうそぼう”からね」
茜里「水底のうそぼう?」
流々「うん、七不思議ランキング5位の幽霊」
七不思議ランキングとは、七不思議を
”遭遇率 × 対峙生存率 × 実際の犠牲者数”
で計算した指標。ようは危険な幽霊ほどランキングは高い。
情報屋の流々が作成した。
吹雪「5位か……まあ下位ってことね」
茜里「初陣ゆえ、それくらいがよかろう」
流々「出る場所はプール。0時以降に現れる」
吹雪「どんな幽霊だっけ?」
流々「水泳の授業中に、生徒の足をひっぱる奴。水泳帽を被った少年の幽霊で、血走る目で不気味に笑う顔が特徴的。
水底を確認しようと水中に潜った瞬間に目の前に現れて、水の底にひきずりこまれるって噂」
礼士郎「水泳部で、すでに犠牲者が出ている」
流々「0時にプールにいくと、誰かが溺れているの。
絶対に飛びこんで助けに行っては駄目。水の底にひきずりこまれて二度と浮かんでこれないから」
吹雪「……こわ」
茜里「しかしそやつで5位か。
……まあ勝てる敵から、攻めるのが定石か」
吹雪「部活立ち上げ当初、いきなり調子に乗って嫌な思いしたことあるからね」
茜里「そうなのか」
吹雪「ね、橘」
礼士郎「……ああ」
流々「0時まで待つ感じ?」
礼士郎「ああ、0時前までこの部室に隠れて、その後出撃でいこう」
茜里「御意」
吹雪「了解」
流々「ブラック部活、反対」