第一章-7、水底のうそぼう④(ADVマスト)

礼士郎「プールに着いたな」

吹雪「気をひきしないとね」

茜里「む?」

礼士郎「何だ、茜里?」

茜里「水面に誰かおるぞよ」

吹雪「うそぼうじゃないの?……え?」

ばしゃばしゃと水しぶきをあげている何かは……

礼士郎「は?……流々?!」

流々「あ、ぶあ、た、たすけ」

礼士郎「流々!」

茜里「……」

礼士郎「流々!」

俺は駆け出す。
仲間の危機に!

吹雪「ま、待って橘!」

礼士郎「流々、今助けるぞ!」

飛びこむ。深夜の黒いプールは予想以上に冷たかったが、関係ない。

仲間を助ける!

流々「ぶは……うぅ」

礼士郎「流々!」

目の前で沈んでいく流々。
俺も、追いかけるように潜る。

そこで……

流々「あは、あはははははははははは」

血走る目。上がる口角。

礼士郎「……!!」

流々……じゃない!

体を掴まれる。冷たく重い力だった。

???「あははははははははー」

茜里「吹雪!結界で橋を!」

吹雪「ええ!」

水面に結界の橋。茜里がその上を走る。礼士郎の元へ。

茜里「ぬん!!」

水面に木刀をふる!

爆発のような水しぶき。刹那、空中で止まり、雨に変わる。

茜里「れいしろー!」

茜里の手。

礼士郎「あ、茜里!」

俺はそれを掴む。

茜里「おおおおおおお!!」

茜里に引き上げられる。
”奴”の冷たい手が抜けた。

礼士郎「あかり……ありが」

茜里「一度ひくぞ!」

茜里が俺を抱えてジャンプする。

プールのサイドに着地した。

吹雪「ぶ、無事?」

礼士郎「ああ、茜里……相変わらず化け物並みの身体能力だな。助かった」

茜里「何を言う。よく見ろ。
……化け物は奴の方よ」

水面から顔を出す水泳帽の少年の顔。
血走った目。

うそぼう「ぶはははははははははー!!」

恩年高校七不思議その一 水底の”うそぼう”
七不思議ランキング5位 推定犠牲者、4人。

吹雪「不用意に飛びこまないでよ」

礼士郎「ああ、すまん。まさか人に化けられるとは……」

茜里「ゆえに、嘘坊か」

うそぼう「あ、あ、あそぼー、あそぼー」

礼士郎「……ああ、いくぞ。2人とも」

吹雪「うん」

茜里「応!」

vsうそぼう