礼士郎「プールに着いたな」
吹雪「気をひきしないとね」
茜里「む?」
礼士郎「何だ、茜里?」
茜里「水面に誰かおるぞよ」
吹雪「うそぼうじゃないの?……え?」
ばしゃばしゃと水しぶきをあげている何かは……
礼士郎「は?……流々?!」
流々「あ、ぶあ、た、たすけ」
礼士郎「流々!」
茜里「……」
礼士郎「流々!」
俺は駆け出す。
仲間の危機に!
吹雪「ま、待って橘!」
礼士郎「流々、今助けるぞ!」
飛びこむ。深夜の黒いプールは予想以上に冷たかったが、関係ない。
仲間を助ける!
流々「ぶは……うぅ」
礼士郎「流々!」
目の前で沈んでいく流々。
俺も、追いかけるように潜る。
そこで……
流々「あは、あはははははははははは」
血走る目。上がる口角。
礼士郎「……!!」
流々……じゃない!
体を掴まれる。冷たく重い力だった。
???「あははははははははー」
茜里「吹雪!結界で橋を!」
吹雪「ええ!」
水面に結界の橋。茜里がその上を走る。礼士郎の元へ。
茜里「ぬん!!」
水面に木刀をふる!
爆発のような水しぶき。刹那、空中で止まり、雨に変わる。
茜里「れいしろー!」
茜里の手。
礼士郎「あ、茜里!」
俺はそれを掴む。
茜里「おおおおおおお!!」
茜里に引き上げられる。
”奴”の冷たい手が抜けた。
礼士郎「あかり……ありが」
茜里「一度ひくぞ!」
茜里が俺を抱えてジャンプする。
プールのサイドに着地した。
吹雪「ぶ、無事?」
礼士郎「ああ、茜里……相変わらず化け物並みの身体能力だな。助かった」
茜里「何を言う。よく見ろ。
……化け物は奴の方よ」
水面から顔を出す水泳帽の少年の顔。
血走った目。
うそぼう「ぶはははははははははー!!」
恩年高校七不思議その一 水底の”うそぼう”
七不思議ランキング5位 推定犠牲者、4人。
吹雪「不用意に飛びこまないでよ」
礼士郎「ああ、すまん。まさか人に化けられるとは……」
茜里「ゆえに、嘘坊か」
うそぼう「あ、あ、あそぼー、あそぼー」
礼士郎「……ああ、いくぞ。2人とも」
吹雪「うん」
茜里「応!」
vsうそぼう